Photo by Koji Fukunaga, Poster design by Katsuyuki Tanaka

 


いってき(60分)
初演1995年 第2回大阪ダンスエクスペリエンス
(大阪千日前トリイホール)


あ、あそこにも、ここにも、こんな小さな水たまりにそれぞれの光を持ったいってきの水たちが、止まったように落下して行く。その中になんとも懐かしいいってきが…。あ、それは僕。
水面はどんどん近づく。水たまりはいつか大きな湖に、それが海かと感じるほどになった時、ぽちゃんと僕は水面に落ちた。1962年1月5日、この日に僕はこの世に生まれた。

誰もがそうであるように、僕もこれまで数々の出会いと別れを繰り返してきた。その中には、忘れようにもそうできない、ひとりひとりのたったひとつの表情があり、姿があった。
それは多分僕にとって、その人の “生” そのものである。またその人から僕に送ってくれた、唯いってきの結晶のようにも感じられる。

いってきになった、その子、その少女、その男、その女、その老人、それぞれが、みな輝きや色合いや香りが違い、それを通して見える星さえ違ったものに感じられる。
そんなたくさんのいってきが時と空間を超えて、この世である1つの湖に落ちる。波紋が広がる。
波紋と波紋は静かに時に激しくぶつかり合い干渉し合い、小さな山になり谷になり、キラと輝き無限へと向かい広がり消えてゆく。
それがその人を通して起こった出会いや、数々の思い出や、別れ、であったのかもしれない。それら全ての始まりにある、いってきを、僕のカラダと言う、この小さな泉に、落とそう。

その時きっと見えるはず、両の掌を力強く、天にかざせば。垂直に見上げた空から無数に落ちてくるいってき。それは、あつし、お前にも降り注ぐ水晶の雨だー。

振付・舞踏:竹之内 淳志
音楽:慧奏(初演時演奏1995年)、小宮広子(鈴、石、パーカッション、ヴォイス)
照明プラン:藤原康弘
衣装:西野なおみ
水盆:伊藤孝一(初演時1995年)
宣伝写真:福永幸治
宣伝美術:田中克幸
美術:舞台中央に池。池上には水滴が絶えず波紋をつくりだしている。

 

PHOTO by Hariko Ubukata

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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